【移民問題の内容とは】
【移民問題の内容とは】
世界では多くの人が生まれた国や地域で生活していますが、中にはその土地では生きていけず、国や地域を離れ、新天地へと移動していく人もいます。
それは貧困を理由としたものだけでなく、チャンスを掴むために移動する人も少なくありません。またそのような人を受け入れることは、国や地域にとっても活性化などにつながります。
一方で、いくつかの問題も発生することから、議論や対策を講じることもあります。
世界に広がる移民問題とは?
世界では各地に移民が存在し、先進国ではその移民受け入れに関してしばしば問題となることがあります。
特にアメリカやヨーロッパでは、移民の受け入れを大量に行っていることから、問題が深刻化している地域もあります。
問題の内容については後述しますが、これはアメリカやヨーロッパだけの問題ではありません。
2020年時点の日本は移民の受け入れに関しての法改正が行われたことにより、世界でも上位に入る移民受け入れ国となっています。問題は表面化していませんが、すでに起こっており、このまま何の対策もなさなければ、アメリカやヨーロッパが抱えるような深刻な問題となる可能性もあります。
世界に広がる移民問題は、先進国を中心として世界中で取り組まなければいけない問題となっています。そのため持続可能な開発目標(SDGs)の目標10でも移民に関して4つのターゲットが定められています。
この目標、そしてターゲットに取り組むことで移民問題を解決し、世界の経済への影響を防いでいくことを見据えています。
移民とは
移民問題を考える上で、移民とは何か知っておく必要があるでしょう。
国際移住機関(IOM)は国際連合の関連機関の一つであり、国際的な人の移動に関する活動を担っています。
この機関によると移民とは「本人の法的地位や移動の自発性、理由、滞在期間にかかわらず、本来の居住地を離れて、国境を越えるか、一国内で移動している、または移動したあらゆる人」と定義されています。
ここで重要となるのが移民と国内避難民、難民との違いです。
移民は全般的に居住地を離れ、国境を越える、あるいは一国内を移動している、移動したあらゆる人を言いますが、その中でも紛争や迫害など、やむを得ない理由で移動を強制させられた人を国内避難民や難民と呼称します。
そのうち、国境を越えず居住地と同じ国内を移動した人を国内避難民、国境を越えて移動した人を難民と言います。
本来移民とは、理由や滞在期間に関わらず移動した人を指し、仕事や勉学に関するもの、あるいは家族に連れられて移動した人などが主ですが、紛争や迫害、または災害というように避難を余儀なくされる人もすべて含めて移民としています。
移民という言葉には、不法を加えて「不法移民」という言葉を耳にすることがあります。
不法移民は、国境を越えた移民あるいは難民が不法に入国し、在留資格を持たないまま国に留まっている人を言います。
また合法的に入国したとしても、在留期間を過ぎて資格を失った後も滞在国に居続けた際も使われます。不法移民は、このような条件を満たした不法滞在者を指す言葉として用いられているのです。
移民問題が起こる原因とは?
移民は紛争や迫害、災害を除けば、いくつかの理由で国内あるいは海外へと移動していきます。
その主な理由は求職や貧困であり、居住していた国内あるいは地域では生きていけないことから、他国や他の地域へと移動し、職を求めて貧困から脱しようとします。
あるいは国内の身分制度などから、自由に職業選択ができず他国で自由に職に就きたい、学びたいという思いで国を脱出する人もいるようです。
つまり、その国内の経済状況や古くからある慣習により移民は発生してしまうことになります。
これに加えて政治不安や紛争、迫害、災害が起これば、難民を含むより多くの移民が、他国へと押し寄せることになります。
移民受け入れの今後は?
世界の先進国を中心に起こる移民の流入と移民問題は、海外だけの話に留まりません。
島国である日本は、陸続きで不法に入国する人はいないものの、中国をはじめとした周辺国からの移民が海を渡ってやってくることから、実は移民が多い国でもあります。
出稼ぎや勉学など理由は様々ですが、私たちの身近にも移民はいる可能性があります。
日本でも外国人労働者は増加傾向にありますが、2020年には新型コロナウイルスの蔓延による経済の停滞で、雇い止めや解雇などを受けた外国人労働者が相次いだとされています。
その中には移民も含まれている可能性がありますが、このまま移民が流入し続ければ、海外同様に移民問題が日本でも深刻な状況に陥る危険性も出てきます。
そうならないためにも、移民についての現状を知り、海外で起こる問題から日本で深刻化させないためにはどうしたらいいのかを考えていく必要があります。
移民問題が起こるからといって、移民を受け入れないという極端なものではなく、無理なく受け入れつつ、どのように移民と共生していくかの対策が重要です。